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日々徒然

会社員がいう「営業力」と経営者が考えるそれとは何が違うのか

会社勤めのセールスパーソンが言うところの「営業力」と、
自分で自分自身の経営をすると言う意味での営業力は全く違います。

会社員が考える営業力とは、自社の商品を売る(買ってもらう)ということですが、
経営者が考えるそれとは「自分自身(あるいは自分の会社)」を評価してもらう、ということです。

一見すると近しく思えますが、全く別物です。

前者は「売り逃げ」ができるのに対し、後者は半永久的に評価がついて回るものです。

会社勤めの営業マンは、仮に売った商品やサービスが顧客の満足度を下回っていたとしても、「自社の商品が悪かった」「自社のサービスの品質の問題だ」という言い訳をすることができます。

ようは「一度、契約をしてもらった後は、自分は知らんぷりができる」のです。
そして世の中には、そうしている人や会社のなんと多いこと。

命懸けで物を売る(買ってもらう)というリアルさは、やはり経営者のそれには全くかないません。
営業マンが考えているのは、今月、来月の自分の数字です。

勤めている会社で評価されたいから、あるいは怒られるのが嫌だから、数字を考える。
それが全ての会社員セールスパーソンの本音です。「自分は違う!」という方がいれば教えてください。

売りっぱなし、ようは営業側の勝ち逃げをし続けていると、業界全体の品位を下げます。

僕が会社員として属していた業界は、業界全体として勝ち逃げの匂いが染み付いていた。
結果には責任を持たない(持てない)ということが許される市場構造と、契約条件になっているのです。

合法であるからこそ大丈夫という発想そのものが、もうあかんのです。
合法の勝ち逃げが、一番タチが悪いのです。

経営者が考える営業力とは、顧客満足のことです。そうでなければならないのです。

お客様は何に対してお金を払っているのか。

サービス提供側の広告費や営業マンの人件費、マーケティング費用に対してお金を支払っているのではありません。
ましてやクロージング時に複数名登場する人たちに対してお金を支払っているわけでも、あるいは提案時に出てくる分厚い提案書に対してお金を支払っているわけでもありません。

お客様は購入した後の「圧倒的なサービス」に対してお金を支払っています。
もっと言えばサービスを受けることによって得られる、その後の価値に対してお金を支払っているのです。

持続する会社や経営者というのは、そのビジネスの本質がよく分かっているので、サービスを購入いただいた後にこそ、全身全霊を注ぎます。それが経営者感覚というものです。

デカデカと「新規顧客開拓が命!」と掲げる会社と経営者に、ロクな会社はありません。
お客様は、その会社の新規顧客開拓に対する費用にお金を支払っているわけではないのです。

この辺りの考え方を誤ると、その会社だけでなく、業界全体の品位を問われます。
業界全体の品位を上げ続けた会社は昇り続け、その逆をやり続けた会社は転げ落ち続ける。

コンサルを雇って分析などしなくとも、一目瞭然です。

究極の営業とは、マーケティングです。
売り込む必要がないことが、究極の営業です。

会社のフェーズによっては、営業時代も必ず存在します。
ですが可能な限り、営業に汗をかく時代は卒業しなければなりません。会社の中期的な成長には、営業から脱することが必要不可欠です。そのために知恵を絞るのです。

本当は「営業力」という言葉も間違っているのです。
僕らはこの感性を持っているクライアントと、中期的なお付き合いをしていきたいものです。

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神里優斗

最後の泥沼までお付き合いいたします。事業開発コンサルティングを行うフラクタル株式会社の代表取締役| 時代を越える原理原則と向き合うメディア「縮尺」編集長|

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