カテゴリー「コラム」では、経営論・組織論についてコラム的に随時投稿していきます。
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会社経営で最も大切なことは何か?
という問いに対して、私は首尾一貫してひたすらに「言行一致」と言い続けてきました。
言行一致とは文字通り、言っていることと、行動を一致させるということ。
言ったことはやる。できないことは言わない。
崇高なビジョンや理念を掲げるのは良いけれど、できない(やらない)のであれば、それは嘘になってしまう。
世の中の会社にはなんと嘘つきの多いことか。
「お客様第一」「顧客第一」と言いながらも、それに反することをやり続けていると、結局のところ大切な顧客から見放されてしまう。
事務所の外から見える様にデカデカと「顧客第一」なる社訓を掲げている中小企業の社長が、毎日顧客のことではなく自分のこと、社員のことではなく自分のことばかり考えているとすれば、その企業が存続し続けることはあるだろうか?(いや、ない。反語)
僕のいた人材業界もそう。人様のキャリア、人生に寄り添うと言っておきながら、紹介手数料ファーストの判断で転職の斡旋を行ったり、想いや感情を度外視した事業運営をし続けるのは、まさしく嘘つきの体現です。
経営コンサルティング業でも同じこと。
できない成果の約束をせず、やり続けられることを徹底する。
結局のところ凡事徹底の継続が、抜きん出るために必要なことなのです。
評価制度で最も大切なことは何か?
会社経営で最も大切なことが「言行一致」である。
では、会社の従業員全てが言行一致をするためには、どうすれば良いのか?
それこそがまさしく「評価制度」にあらわれる。ようは「人事制度」である。
社員に対して「新しいことに挑戦しろ」と言っている会社が、失敗して挑戦した人を責め立てたり、出世を閉ざしたりしている企業は本当に多い。
ようは自社の社員に対して嘘をついてしまっている状態なので、社員は必ずその違和感を見ているし、優秀な人ほど「あ、自社は嘘つきだ」と分かったら辞めていく。
社員に対して「これを頑張ってほしい」ということを評価制度に盛り込むことで、どんな社員でもその領域を頑張るようになる。逆を言えば、それ以外のことは頑張らないようになる。
当たり前だ。合理的な人間であれば基本的には「評価されること」を頑張り、「評価されないこと」は極力しないようにする、と考えるものである。
評価制度で大切なこともまた、言行一致である。
とは言え組織には一定数、評価を気にしない人というのもいるが、遅かれ早かれその人はいずれ組織を去っていく。
本質として、人が動かされるのは「お金」か「評価(承認)」の2つしかない。
その大前提の本質を、経営者は忘れてはいけない。
人事制度の本質は「願い」である
私の大好きな漫画「キングダム」で、物語の中心となる国・秦は、春秋戦国時代における7大国の戦国において、中華統一を目指していく。
戦争に戦争を重ねる戦国時代において、武力によって負かせた相手国を手中にしていくわけだが、秦の王は中華統一を「奴隷制度」ではなく「法律」によって成し遂げようと考える。
相手国民を奴隷にすれば、一時的に治めることができたとしても、恨みの連鎖は消えない。
支配する側とされる側、という構図ではなく、たとえ王や国家であったとしても全ては「法のもとに平等である」とすることで、文化や歴史の異なる7つの国を治めていく。
秦は中華初の「法治国家」として名を馳せることになる。
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ここで私が「これは深いな」と唸らされたのが、戦国の世において複数の国を治める方法として「法律」という解を出し、法治国家を語る場面。
天才法律家、李斯(りし)と、王の右腕である昌文君(しょうぶんくん)が語り合う場面で、「法とは何か?」と李斯が問いかける。
回答に戸惑う昌文君へ、李斯は「法とは、願いだ」と説く。
法とは、国が、国民が、こうなってほしい、こうあってほしいという願いを体系立てたものであると。
だからこそ、大切なのは天下国家がどうあってほしいかという強い想いであり、それ以外は小事である、と。
その言葉に心震えた昌文君は、牢に繋がれていた天才法律家、李斯を解放し、王の傘下として天下統一を目指していく。
というのはまあ、漫画「キングダム」の一説だが、私自身はここから学ぶべきことは多くあると思っている。
人事制度ーー
それは会社における法であるわけで、人事制度の本質というのもまた「願い」であるのではないだろうか。
会社としてこうありたい、こうあってほしい、社員の頑張りや成果をこの観点で評価したい、等々。
人事制度は等級制度、評価制度、報酬制度の三位一体からなる。
等級制度というのは、社員の最大レベルを言語化・定義しそこからブレイクダウンするものである。
報酬制度というのは、会社の利益をどう社員へ分配するかを定めたものである。
そして何よりも評価制度は、会社が社員へ期待する役割を形にしたものである。
ビジネスを志す人、そして人事部に携わる人は、漫画「キングダム」を必読書にしても良いかもしれない。
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