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起業の心得

見込み顧客集めに困っているセールスパーソンへ。受託(コンサルティング)業の商流の考え方

4期目を迎えるフラクタルのキックオフ(初の箱根合宿!)で話したこと。

「改めてフラクタルが3年間で考えてきたこと」として、3年分の思考を時系列に沿って書いてみます。

4つ目は「受託(コンサルティング)業の商流の考え方」について。

※3つ目の「チーム作りの考え方」についてはこちら

受託業で何よりも難しいのは「見込み顧客」を集めること

世のセールスパーソンの多くは「見込み顧客が枯渇するのではないか」という恐怖との戦いが常にある。

特に独立開業をして、フリーで事業を始めようと思う人は、自分の前職までに繋がったリストを片手に片っ端から営業をしていくわけだけど、「〇〇商事の鈴木です」という「〇〇商事」という看板を外して「鈴木です」と名乗ると、必ず相手から「どちらの鈴木さんですか?」と聞かれるわけで、そうして初めて会社の看板の重みを実感する。

「自分は営業力がある」と思っている人も多いけれど、真の営業力は「見込み顧客を集め続ける力」にあると思う。
目の前の顧客にサービスを提供できる、買ってもらえるのは当たり前。                     それができないなら独立なんてしない方が良い。

経営者の仕事は、1に営業、2に営業。顧客をとってくることができなければ、会社としても個人事業主としてもセールスパーソンとしても始まらない。独立して初めて多くの人は、いかに勤め先の会社のブランドの力で今まで見込み顧客を作っていたか、ということを痛感する。

そして独立した経験がある人だからこそ実感するのは、「自分の前職までに繋がったリスト」的なものは、1ヶ月もしないうちに枯渇してしまうということ。

サラリーマン時代に「いやあ、〇〇さんが独立するなら、そちらに仕事をお願いしますから!」と言ってくれていた取引先の言葉は、100%実現しないと思っていて損はない。

「あの時、自分が独立したら仕事をくれると言ったじゃないか」というのは通用しないし、そんなに世の中は甘くない。サラリーマン時代に100社の付き合いがあって、そこから1社でも独立した自分に仕事を少しでも依頼してくれる先があれば御の字。基本的には100社中、100社が断られると思っているくらいでちょうど良い。

独立して見込み顧客を集めてくるというのは、それほど難しいということだと知ろう。

受託業には「営業」と「納品」の2つがある

当たり前の話だけれど、フリーでやっていくにせよ営業代行にせよコンサルにせよ、いわゆる受託業には「営業」と「納品」の2つのプロセスがあって、個人の名前で仕事を請けていきたいのであれば、最初はその両方を行なっていくことを考える。

もちろん最初からパートナーに「納品ができる」という知り合いがいるのであれば、自分は営業をして案件を取ってきて、そのパートナーに渡すということも考えられるが、その逆はない。ようは「営業をとってくる人がいるから、自分は納品をすれば良い」という考えは危険。

「自分は営業力がある」と思っている人の多くは、目の前の顧客に対してモノやサービを提供できる、買ってもらえる自信があるということだが、経営者観点での営業力というのはその「サービスを売る相手を、目の前に連れてくることである」という違いである。

受託業は営業と納品に別れるが、営業も「見込み顧客集め」と「商談(提案〜クロージング)」の2つに分かれる。当然一番難しいのは「見込み顧客を集める」ことである。

営業から納品まで全部を1人で完結できると、100のフィーがもらえる。

でも、自分は納品しかできない、なんなら納品も半分しかできないということであれば、100のフィーのうち30程度しかもらえない。納品を完璧に1人でできるのであれば、60〜70くらいの相場に落ち着く可能性が高い。

じゃあ営業しかできない人は、100のうち20〜30の分配になるのか?といえばそうである。

ただし、受託業を一定数経験した人であればわかるが、最終的に時給が高くなる1番の労働は「営業」にいきつく。

案件1つあたりの分配で言うと100のうち20〜30くらいの割合になるけれど、自分の時間は使わなくて良い。

納品をやり続けると1件あたりの割合は高くなるが、自分の時間やリソースの飽和がいずれやってくるわけで、納品だけを1人でやり続けて稼げる相場というのは大体月に200〜300万円が最大だと思う。

繰り返すが重要かつ一番難しいのは「見込み顧客」を作ることである。正確には見込み顧客を「作り続ける仕組みを確立する」ということである。

独立開業をする、完全歩合制の営業で勝負をする、というのはいわば「集客装置の開発勝負」であると言っても過言ではない。

見込み顧客集めは大変。だから営業を誰かに依存する構図になる

いまの世の中には複業人材やフリーランス、業務委託のマッチングサービスが乱立している。まさに「副業戦国時代」と言っても過言ではない。

なぜこれだけのサービスが乱立するかといえば、当然供給側の人材過多になっていて「需要<供給」になっているという点と、それだけ人材側が「自分1人で案件を取ることが難しい」からである。

法人相手に自分自身を売って、案件をいただくというのは本当に難しい。これはサービスを売るとかモノを売るとかの次元ではなく、本当に難易度が高いし、それをできるようになる、まさしくゼロから一円を稼ぐ経験があれば、どこにいっても戦っていける。本当の意味での「ビジネス戦闘力」が身につくと言っても過言ではない。

フラクタルが一緒に仕事をするメンバーや仲間に提供したいのは、そういう「一円を稼ぐ経験と実績」であり、それがあると自分一人で法人相手に営業をした時にでも「で、あなたは何ができるんですか?」とかを聞かれることがなくなる。なぜならばすでに1件でも2件でも、自分の名前で仕事をしたという実績があるからであり、ゼロとイチの差は本当に大きい。

フラクタルは当然、僕自身もメンバーの多くも、初期は会社員勤めと並行しながら、いわば「複業」として少しずつ、1つずつ自分の名前で仕事をすることを積み上げてきたわけで。

これからも当然、会社勤めの人であれ、すでに独立をしている人であれ、一緒に仕事をしていく人たちが、極力自分で営業をしなくても仕事が回っていく、いわば経済圏を作りたいと思っている。これは会社立ち上げの初期から変わらない思い。

案件マッチングをしたいわけでもなく、コンサルティング案件を1つ1つ積み上げていくことをやりたいし、そこに共感してくれる人たちと長く仕事をしていきたいと思う。

フラクタルは「案件を取ってきてあげて、振っている」というような姿勢ではなく、一緒に色々な仕事と経験を積み上げていく、そんな世界観が作れればと思っている。結果として仕事を作り出し続けるのは会社としての責任であると思っているし、入口を作り続ける僕自身の役割なのではないかとも思う。

フラクタルの見込み顧客を集め続ける仕組みは、企業秘密なので全てを種明かしするわけではないけれど。
考え方については次回の記事で書いてみようと思うので、乞うご期待!

  • 記事を書いたライター
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神里優斗

最後の泥沼までお付き合いいたします。事業開発コンサルティングを行うフラクタル株式会社の代表取締役| 時代を越える原理原則と向き合うメディア「縮尺」編集長|

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