時代を越える原理原則と向き合う

時代に流されない「原理原則」を経営者に突きつけるメディア『縮尺』。理念経営のための確かな「物差し」を、フラクタル社メンバーが思考の現場からお届けします。

哲学

“賢い人”の正体とはなにか

この人優秀で信頼できる、というビジネスフィールドにおける「優秀な人」に限って、
「この人ちょっと怖いな」と思う瞬間はないだろうか。

僕の経験則では、2桁億円以上の会社の経営者とか、
優秀な会社の幹部層以上の人たちとか。

会社を2桁億円以上に成長させるのは必ず「仕組み」が存在するし、
代表の営業だけでもそこまではいかない。
直接的なマネジメント以外に、経営的な仕組みが存在する。

となるとそこには必ずその会社を支える複数の人材がいるわけで、
一定度以上の優秀な人材を抱える組織の代表というのは、
いい意味で威厳と怖さを兼ね備えている(あるいは兼ね備えていく)ケースが多いと思う。

優秀な人も一定度の経験と年数を超えると、
ある種それに近い威厳を纏うようになるわけで、
じゃあその”賢い人”の本質ってなんだろう?という話。

あ、この人、優秀だな。と思う人を思い浮かべてみる

あなたの周りで上に書いたような経営者や、企業の幹部候補のような人、
あるいはあなたの会社の「エース」と呼ばれる人を思い浮かべてみてほしい。

ちょっと気難しく見える人。
そんなタイプの人の方が、実は多いかもしれない。

もちろん、柔和で
「なんでこの人がこんなに仕事ができるの?」
みたいな人も一定数は存在するけれど、
比較的「ちょっと難しい」と思われるような人も多いのではないかと思う。

ちょっと話は変わるけれど、
クライアントワークの仕事の中で「抜群に優秀な人」になると、
一気に人当たりが柔らかく腰が低い人の確率が増えると感じる。

特にコンサルティング業界で抜群に売れている人は、
1.相手の方から頭を下げて「この人にお願いしたい」と思われるような厳格な人
2.めちゃくちゃ低姿勢で柔和な印象だけど、
  本題を話すと一気に本質を突き詰めて、
  仕事の話が終わると柔らかい雰囲気に戻る人
の2通りが多いというのが僕研究による現時点での仮説。

2なんかは特に、業界の雄であるマッキンゼーの人たちは、
揃いも揃って根回し、気配りが抜群な、人たらし要素を持った人間が多いように感じる。

さすがである。

僕の前職の先輩で、めちゃくちゃ売れるコンサルタントの人がいたが、
いわゆる「天性の人たらし」。いい意味で詐欺師。

あなたの周りにもいないだろうか。
文章にするとめちゃくちゃ普通の言葉であっても、
その人が言うと「本当にその通り!」と思えるような詐欺師っぽい人が。

天性のセールスパーソンは、天性の人たらしであることも多い。
もちろん業界理解や専門知識も兼ね備えているのだけれど、
持ち前の「相手の気持ちを察する力」と「心地よいメロディーのような話術」で、
基本的にはどんな商材であってもめちゃくちゃ売れる。

僕の前職のその先輩は若い時から愛嬌が秀でていて、
周りからは「歳を重ねたらそのスタイルでは売れなくなるよ」と
周囲に嫉妬されていたが、最年少での出世ルートを歩んでいる。

結局のところ、突き詰めると「相手の立場で考える力」だと思う

賢さとは何か。

僕は結局のところ、
相手の立場で考えられるか否か、ということなのではないかと思う。

相手の気持ちを察するとか、表情で何を考えているかを読み取るとか、
天性の人たらしとか、愛嬌さ、みたいなものは難しい。

幼少期や青年期の育った環境にも大きく依存するし、
人の気持ちや感情というのは特にプライベートにおいては千差万別だからだ。

僕自身はどうなんだろうか?と考えてみると、
幼少期から周囲の大人の顔色ばかりをみて育った関係で、
逆に人の感情に過敏になりすぎてそのアンテナのようなものを
自分でクローズしてしまった節もある気がする。

結果として、
「人の気持ちを察するみたいな機微が薄い」と言われることも
特に20代の頃は多かった。

ただ、そのモードで生きていると”自分自身がやっていられなかった”
ということもあるのではないかと自己分析している。

ちなみにいろんな小説を読みまくると結構、
人の感情の機微を読み取るパターンのようなものが増える。

それはトレーニングすべきものと断定するものではないし、
自分の他の何かを磨くことに20代を費やす生き方もあると思う。
僕はそちらのコースだったはず。

冒頭に書いたような「ちょっと怖く感じるような優秀な人」というのは、
相手の感情や立場を読み取り、相手を見ながら話術や回答を変えることができる。

結果、ドンピシャな一球を放り込むことができるし、
それが本質をついているからこそ、その人と相対する人はある種の怖さを感じるのだと思う。

「見透かされているような気がする」と感じるのは、
きっとそういう先読み力が長けているからなのではないだろうか。

ビジネス的に相手の立場を考えるということ

これは僕がサラリーマン時代に気付いて、自分自身が独立をして証明できたと思う必殺技なのだが、
ビジネス的に稼げるようになると、あるいはいろんなサイズの事業や経営を見る経験をすると、
自ずと相手が考えていることがわかるようになる。

これは上で書いた「相手の立場を想像する力」が養われたわけだが、
その前提条件となる「相手の立場」の解像度が上がることによって、
「合理的に考えると、この人はこう考えているはずだ」という理解度が上がるということ。

わかりやすく言えば、会社の部門や役職、その人が負っている責任や立場を考慮すると、
次の意思決定はこうだろうとか、今困っていることはこういうことだろうということが
手に取るようにわかるようになる。

稼ぎという意味でも同様で、
年収600万円の人と年収1,000万円の人が考えていることや困っていることは異なるし、
年収1,000万円の人と年収3,000万円の人の立場や悩みも違う。

サラリーマンや雇われている人と独立組の考え方も違うし、
個人事業主と経営者の考え方も違う。

自分自身がいろんなフェーズを一通り通過したことで、
言葉はあれだが自分未満の人は「次はこう考える確率が高い」ということが解像度高くわかる。

もちろん、今の僕には年収10億円の人の人の感情は分からないし、
資産100億円の人が考えることも分からない。

自分自身が経験していないフェーズに関しては、
ひたすら想像力を磨くしかない。

畢竟、相手の立場になってとことん考えられるか否か、ということ。

コンサルティングの仕事というのは、
相対する経営者や企業幹部の人たちの立場になって、
ひたすらその人たちの立場になって考えるとどうか
“を突き詰める仕事。

そのうえで、
業界歴何十年という人たちが思いつかなかった発想や視点、
ようは光の当て方を知恵を絞に絞って考えるのだ。

知恵で稼ぐ仕事というのはそういうこと。

ちなみに、「合理的に考えると、きっとこうするはずだ」という考え方だけだと、
合理的ではない人たちのことはわからない。

世の中の多くの人は合理的ではないわけなので、
どちらかというと人の本質や感情理解(心理学とかマーケティングとか)の話になってくる。

ここも奥が深くて面白い研究分野だと思うのだが、どうだろうか。

1つ、ヒントを囁いておくと、
多くの人間にとっては「感情報酬」の方が重要だし、
「こうなると幸せな未来が待っている」では動かないけれど、
「こうなると不幸になるよ」の方が動く。

世の中で売れている商品は、粗悪な情報商材も含めてその大半が
「こういう不幸な未来が待っていますよ。それが嫌なら、この商品を買うといいですよ」
というマーケティングで成り立っている。
幸せな未来を謳っても人は変化しないが、不安を煽ると人は動く。

あなたの事業に役立ててほしい。

人間は「幸せな未来を得るため」ではなく、
「不幸な状態を避けるため」にしか動かない

多くの人は「頑張れば未来が明るい」ということでは動かなかったから、
学生時代は勉強をしなかったわけだし、社会に出てからは努力をしなかったわけだ。

人間というのはそういうものだ。

ここでいう努力というのは「相対的な努力」の話。
「いや、自分は勉強していたもん」といっても、
周りの人より勉強をしなかったから、
東大にも行けなかったし甲子園にも行けなかったわけでしょう?

世の中が市場原理で動いている以上、
何事も相対的であるという構造である以上は、
努力はその分野の他の人以上でないといけない。

勝者以外は皆負けているのだから。

もちろん僕自身もたくさん負けの分野があって、
だからこそ自分が勝負できる分野をとことん突き詰めて今があると思っています。

人間の本能としての「生存(安心)の欲求」は最大のシステムで、
これに抗えないからこそ得することで頑張ることはできなかった多くの人でも
不安を煽られると損をしたくないから行動してしまうのだ。

マーケティングがうまいと人や企業というのはその人間心理を熟知しており、
それが集まった大衆心理こそが経済社会なんですね。

会社の人事制度や仕組みを考える時でも、
「こんないいことがあるよ」ではなく
「負けた人は脱落するよ」とか「やらなかったら罰則があるよ」という恐怖の方が動く。

メリットを享受するよりも、デメリットを避ける方に仕組みを作ると、組織は自走する。

賢い人というのはその辺りの心理を必然的に理解していて、
駆け上っていくリーダーというのは優しい人で舐められるくらいなら、
畏怖されて人を従えた方がいいということを熟知している。

歴史から学ぶならマキャベリについて調べてみると、
それ以降の世界の組織のトップたちの振る舞いも納得がいくのではないだろうか。

20代でマキャベリの「君主論」を読んでおくと、人生で必ず役に立つ。

君主論については色々な書籍が出ているが、
マンガ版は読みやすいのでおすすめ。

漫画版:君主論

  • 記事を書いたライター
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神里優斗

最後の泥沼までお付き合いいたします。事業開発コンサルティングを行うフラクタル株式会社の代表取締役| 時代を越える原理原則と向き合うメディア「縮尺」編集長|

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