時代に流されない「原理原則」を経営者に突きつけるメディア『縮尺』。理念経営のための確かな「物差し」を、フラクタル社メンバーが思考の現場からお届けします。
数年越しに前職の人たちに勉強会をしてきました
仕事の機会をきっかけに関係性ができて、前職の方々とやりとりをする機会がここ1〜2年で増えてきました。
ありがたい限りです。
独立をしてしばらくは前職界隈とは距離を置いていて、数年の間に僕は僕で実績を積んで、前職の事業部も大きくなって新しく人が入ってきて、今こうして仕事で関われる機会が増えたことは、嬉しいものです。
前職のコンサルティング部門の中に、ここ数年でSMBの営業チームができました。
SMBというのは、いわゆる中小・中堅の企業、主にオーナー経営者向けのビジネスということです。
エンタープライズ企業(大手企業)向けのセールスやコンサルティングとはまた違った難しさがあって、専門の営業チームが立ち上がったという背景ですが、
僕ももちろんオーナー企業向けのコンサルティングを行っているわけなので、僕が前職のチームと一緒に提案できたらいいなという目的のもと、「フラクタルが提供できること」の共有を軸にしながら約2時間、勉強会をどうかというお声がけをいただき話をしてきました。
企画から当日のファシリまでやってくださったあなた、ありがとう。
どういう内容をシェアしたら、参加してくれる方へのギフトになるかな?と考えた結果、
多くの人がおそらく聞きたいであろう、僕自身の独立前後から今に至るまでの考え方や、どうやってこれだけの企業へのコンサルティングを提供しているのか、という点を中心に、
「ゼネラリストの価値」というテーマで話をしてきました。今日はその内容を残しておこうと思い今ブログを書いてます。
ゼネラリストの価値

今回の勉強会のテーマは「ゼネラリストの価値」というもの。
SMBのコンサルティング営業をする人たちにとって、ギフトになるであろうメッセージとして、僕が独立をしてから、否、独立をする前から考えていた「専門性で勝負しない」という価値を伝えられたらということで、
企画してくれた人と一緒に今回の勉強会のテーマ「ゼネラリストの価値」を掲げました。
僕の前職は業界だと最大手の会社であり、僕がいた部門も業界最大手の事業に成長している。
だからこそその事業に関わるコンサルタントの人たちは、優秀だし、専門性を磨きたいという想いを持っている人たちも多い。
そういう人たちにこそ、専門性も大事だけれど、そうじゃない命懸けで事業に取り組む経営者に向き合う上で大切だと僕自身が実感しているメッセージを伝えたかった。
前職の人たちと一緒に仕事をするのは、僕が独立をして一番やりたかったことの一つです。
でも、何度もブログに書いている通り、僕自身は独立当初、前職のつながりでは一切仕事をしなかった。
その最大の理由は、業界の色がつくのが嫌だったから。
大きな影響力を持っている会社であり事業だからこそ、せっかくそのご縁をもって独立したからこそ、その価値を最大限に活かせるステージに僕自身がたたないことには、一緒に仕事をしてはいけないという自分自身への厳しいルールを持って独立をした。
業界の繋がりが全くない外で旗を立てたからこそ、今こうしていろんな相談をもらえるようになったし、こちらから営業することなく、「こういう相談に乗ってください」と言われる立場になったわけで、それは僕自身が当初から掲げていた「コンサルタントは、仕事を相談される立場であるべき」というスタンスを確立することにつながったわけです。
今回の勉強会では、そんな裏テーマを掲げつつ、僕自身の出来ること(ケイパビリティ)と、その立場に至るまでにどんな作戦があったのかという、おそらく多くの人が知りたいであろう考え方を、ふんだんに盛り込んだつもりです。
フラクタルの事業フェーズ

この「フラクタルの事業フェーズ」というページ1枚には、僕のこの数年間の作戦が凝縮されていて、このページに関する質問が最も多かった。一番最初に伝えたかったことはこの内容です。
僕自身、創業メンバーの3名で最初に立てた作戦が上の内容で、その最も重要な考え方が「専門性で勝負しない」というもの。
特になもなき実績を作る段階においては、「で、あなたはどういうことができるのか」という問いをされることが最も多いし、その問いかけが最も辛いということは、自分自身の名前で仕事をしようとしたことがある人全員が首肯するものだと思います。
第1ステージにおいて大事なことは、いかに早い段階でこの「あなたは何ができるのか」という、スキルを問われる段階から脱すること。
そのためには「実績」こそが全てで、今の僕らに仕事の相談をしてくれる人は「で、何ができるんですか」なんてことは言わない。それはいろんな業界において、コンサルティングの実績が数多あるからです。
コンサルタントは医者や弁護士と同じで専門職であり経営支援のプロなので、こちらから営業をするのではなく、相手から頭を下げてもらうべきというのが僕のポリシーです。
医者が血塗れの手で「手術をさせてください」と言われたら、そんな医者に命を預けたいとは思わないはず。
それは命を賭して経営をしている経営者にとっても同じことで、社内外の誰にも相談できない、いろんな悩みを抱えている経営者が、胸襟を開いて経営相談をする相手というのは、「自分と社員とその家族の命を預けたいと思えるプロ」に限るわけです。
だからこそ早い段階で「それだけの実績があるなら、ぜひうちも相談したい」と市場に思われる立ち位置を作りたかった。
そのための一歩が「特定のテーマの専門性で勝負をしない」ということであり、比較されない立場を作るというものでした。
実績を作る段階において重要なのは、外部と比較されない立ち位置を作るということ。
例えば経営者に対して「顧問弁護士」というキーワードを発すると、相手は頭の中で無意識的に「何かあった時に法律相談ができる顧問」=「月5万円」くらいか、と勝手に連想します。
「月に1回、相談に乗ってもらう弁護士」=「月10万円」くらいか、とも勝手に連想するというのが人の性ですから、その特性を利用して、外部に比較対象を持っていかない提案をすることを徹底していました。
初期は実績がない訳ですから、コンサル業で闘える武器は自分自身の身一つということなので、まず大事なことは「自分自身が市場からどう見られているか」を徹底的に(言葉を選ばずいうと冷酷に)分析すべきです。
自分自身の見た目、経歴、喋り方、社歴、そして大事なことは「学歴」と「年齢」です。
まだ20代後半だった僕自身は当時、自分自身を売り込む際にはその見え方を研究し、企業にコンサルとして買ってもらうにはどうするか?を突き詰めていった。
その最大の手法が「企業が困っている要因の大半は、自社の社員である」と経営者に認識させること。
事業を営む上で起こる課題の大半は、専門知識がないからでも、ネットワークがないからでもなく、「社員がイケテナイから」であり、事業のボトルネックの大半は社員にあります。
高度な専門性やノウハウがが必要な場合もありますが、それはごく一部であり、多くの企業にとっては「当たり前のことを、当たり前にサクサクこなす」ことが価値になる。
経営者に自社の課題を聞き出し、その課題を解消するには「うちの社員ではなく、目の前の人なら、そのテーマにちゃんと取り組んでくれそうだし、結果も出やすそう」と思ってもらえるコミュニケーションをとるだけで、
「それなら、微妙な社員が半年かかってやることを、2ヶ月でこなしてもらおう」「それなら月50万円で発注しても安いものだ」と思ってもらうことができる。それが経営者感覚というものです。
気づいたと思いますが、比較対象を外部の専門性を持ったベンダーではなく、自社の社員に切り替えることで、依頼をもらうことができる。
「僕なら、社員が半年かかることを、2ヶ月でちゃんとやります」と言わないけれど経営者の頭の中をその判断軸にしてもらうことで、「転職は無理だけど、業務委託ならちゃんと役務を提供できますよ」という話にし、仕事を増やしていきました。
企業経営には、いろんな機能が必要です。
営業、マーケティング、コーポレート、人事、などなどそれらのテーマは別に専門性は必要ありません。
だって、専門性がなくても、一定度の能力があれば採用されている(=月数十万円の発注をもらう契約をする)ことにつながるわけですから、僕はただそのテーマを増やしていったわけです。
僕自身は会社員の時代に「人事」という部門で務めたことはないけれど、目の前の中小企業において微妙な社員が人事をやるよりも、僕が物事を進めた方が絶対に物事はうまくいく。
そうやって人事経験がなくても人事制度のプロジェクトを受注していたし、営業組織の立ち上げも、マーケティングも、新規事業も、一つ一つのテーマに中の人として取り組んで結果を出し、実績を積み上げていったわけです。
実績が増えてくると、上流の部分から仕事の相談を受けることが増えていき、今に至ります。
世の中には人手不足で困っている企業たくさんあるわけで、仕事は溢れています。
そのマーケット感覚を持ちながら、仕事を積み重ねていった結果、今の僕があるわけです。
オーナー経営者が求めているのは「逃げ出さないか」否か

中小企業の経営には、高度な専門性はほとんど必要ありません。
もちろん、業界の特性を知らないといけないだとか、その会社特有の技術というものはありますが、それは教えて貰えばいいわけだし、現場仕事を外部が請けるわけではない。
あくまでも事業目線、経営目線で必要なことを提供していく。
逆にいうと、専門性を経営の文脈に翻訳する力が必要なわけです。


その本質を知っていれば、どんな業界であっても、事業や経営の仕事はできる。
業界知識はちゃんとインプットした上で、その会社の立ち位置を正しく理解して、必要な役務を提供する。
それがクライアントワークに求められる能力であるし、コンサルタントが稼ぎ続けられる理由でもあります。



中小企業の経営者は、文字通り命懸けで自社の事業と、社員と、その家族の生活を背負っています。
専門性がどうとか、業界知識がどうとか、そういうことよりも、実績があるコンサルタントかどうか、そして目の前の人が逃げ出さないかどうかを、経営者は直感的に見定めています。
だからこそ僕らは、「何があっても最後まで向き合います」というメッセージを訴求し続け、仕事を量産してきました。
大企業に向けたコンサルティングでは、他にもいろんな要素が必要になりますが、オーナー経営者に求められるのは「覚悟」です。
絵に描いた戦略を実行する段階では、うまくいかないこともたくさんある。
なんなら、うまくいかないことの方が多いわけで、経営者は「何をやるか」よりも「誰とやるか」を重視するからこそ、「この人とならいろんな壁に立ち向かっていける」と思える人に、コンサルを依頼するのです。
面倒臭い案件、抽象度が高い案件、どう提案したらいいかわからない案件こそ勝ち筋

とはいえ、できる幅が広すぎて、「何ができるのかをできるだけ広く教えてほしい」という要望もあったので、一応、書きました。
1つ1つはもちろん実績もありますが、伝えたいのはそうじゃない。
高度な案件、明確な案件は、誰もがやりたがるし、提案できるパートナーもたくさんいます。
そういうテーマは、自社の実績にしてもらったらいいし、僕らに相談しなくとも、やりたがる人はいくらでもいます。
僕がこれだけコンサル案件の相談があるのは、そうじゃないテーマにこそ困っている人が多いから。
だからこそ、それぞれのテーマにおいて「どう提案したらいいかわからない」というものこそ、僕らが一緒に向き合いますよ、というのが今回の勉強会で伝えたい2つ目のテーマです。

例えば、人や組織の問題。
コンサルを営業する人たちにとっては、上記のようなテーマは正直、面倒臭いわけです。
仕事としてもっと明快に「いつまでに、人事制度を刷新したい」というような、明確な案件であれば、それを提案する術はいくらでもある。
でも、そうじゃない泥臭い案件は困るし、だからこそ僕らにこれだけ仕事の相談が殺到するのです。

採用においてもそう。
採用支援を行う事業やサービスや世の中にたくさんありますが、その本質は「企業が自社で、当たり前のことをやり続けられない」ということにあります。
「いい人が採れない」とはよく言いますが、その理由を明確に答えられる人はほとんどいません。
十中八九「募集が集まらないから」と言いますが、募集が集まらない要因を分析して、改善できないからこそ、企業は困っている。
採用支援の仕事もたくさんやっていますが、結局は組織の問題であり、社内の人の魅力であり、事業や経営の理解を持って取り組まないといけない。事業は全て有機的に繋がっているわけなので。
実際の勉強会では、具体的な運用支援の方法や実績、作った採用サイトなどもお見せしました。

あとは「その他」のテーマ。
ここでピックアップした内容というのは、おそらく前職の部門の人たちが、提案をする時に困りそうな内容を選んでいます。
僕の強みは、業界を跨いで色んな事業・経営支援を行ってきた実績があるということ。
業界を横断して共通する経営・事業の共通項を知っていて、その上でその企業の「今の事業フェーズ」を見て、オーダーメイド的にコンサルができることにあります。
当たり前のことを、当たり前にできる人は意外と少ない


という前提で、オーナー経営者とのコミュニケーションをとるうえで大切だと思うことを伝えてきました。
この部分も質問も多くて盛り上がったパートで、コミュニケーションの難しさと重要性を改めて僕自身も感じるところです。
今の若手の人たちに一つ、ギフトになることといえば、別に話し上手になる必要はないと思うのです。
でも、自分と似たタイプの人で、話が伝わる人、相手に響く話し方をできる人を、社内外どちらでもいいので見つけて、その人の話し方をパクるといいよ、と伝えました。
色んなタイプの人の話し方を自分の中の引き出しに持っておく。
その引き出しを作るために、結局は場数を経験していくこと。できれば20代、遅くとも30代前半くらいまでには、場数と修羅場をくぐっておいた方が絶対にいい。
今の僕は、経営相談をもらう立場ができているので、基本的には相手が「この人の話を聞きたい」という前提になった上で話すことが多くなりました。
これはもちろん、一朝一夕にできるものではありませんが、でもそれは20代のうちに多くの人前で話す、講演する、プレゼンする数多の経験があって、プレッシャーや緊張や修羅場をたくさんくぐってきたからこそのものだと思っています。
先週も商工会議所で勉強会をさせてもらってきましたが(この話はまた別の機会で書きますね)、どの場所で、どれだけの人数がいても、人前で話すことにプレッシャーも緊張も全くありません。
一対一でオーラあふれる経営者と対峙することにもなんとも思わない今があるのは、くぐってきた修羅場の数があるからだと思うのです。
業界に恩返しをしたい


と、色々と書いてきましたが、勉強会の最後のメッセージとしては、「テーマはなんでもいいので、まずは一緒に色んな仕事をしましょう」ということ。
これは僕の本音です。
仕事の中身や内容は、どっちでもいい。
別に美味しい仕事や儲かる仕事でなくてもいい。
最初に書きましたが、前職の人たちと、今の立場で関わることができるのは、本当に幸せなことです。
業界に恩返しがしたいし、前職の人たちに利益があったり、個々人のキャリアや業績に活かしてもらってもいい。
そういう一つ一つの積み重ねを、僕自身がまだプレイヤーができる30代のうちに、していきたい。
こういう働き方は、賞味期限があります。こんなことを今言うのはどうかと思うけれど、言っておかないのは不誠実だと思うので書きます。
僕が40代になったら、また別の戦い方があるし、別の関わり方があると思っています。
だからこそ、いま、最大限、現場の皆さんと一緒に、さまざまな企業に向き合いたいし、業界に爪痕を残す取り組みを、一緒にできたらいいなと心から思っています。
きっかけをくださったみなさん、ありがとう。
これからも地味な仕事を一緒にたくさんしてきましょう。
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